濱田邸茅葺長屋門修復その7

更新が遅れてしまったが、イギリス人陶芸家バナード・リーチの再来日のために移築された長屋門の茅葺がかなり進んだ。修復を振り返ると長屋門の土台の交換や内部の修復などか行われて痛んだ茅葺屋根の茅の交換などが行われて来た。合間には筑波の茅の保存会などに協力を得て茅の調達や濱田家の茅刈り場の茅刈りなどが行われ多くの人の手を経て屋根の本格的な修復が行われて来た。

北側の屋根は茅が大分痛んでいて茅が一部「土化」して草などが生えてしまっている。これは経年劣化で仕方の無いこと。北側は日も当たりにくくどうしても傷みやすい。

屋根の内部に入ると真っ暗だ。

この規模の長屋門では珍しい破風が見られる。破風の取り付けの部材の構造も良く分かる。屋根は入母屋形式で普通は開口部が無いか有っても動物などの侵入を防ぐ縦格子があるのだが、何故かこの長屋門には動物除けの格子が無い。

内部の一番奥の茅は(茅は何層にも重ねて雨や雪などから守っている)ほとんど綺麗な状態だがやはり一部では痛みが出ている。屋根の構造材は健全に保たれていた。角材や丸太など加工された木材や加工されていない丸太などが使われている。木材を上手く利用してグギも使わず木組みだけであとは縄での結束だけで構造材が組立られている。元の長屋門が何時建ったか不明でこの長屋門についてどこからの移築かどこの棟梁が移築と改造に関わったかは記録が残っていない。昔は、製材された材木は貴重で使われなくなった建物の部材を大事に使いまわして来た。もしかしたらかなり古い木材も使われていたのかと想像してしまう。一緒に入った宇都宮大学の遠藤先生とも確認しようとしたがそれらしいものはなかった。墨書きでも梁にあれば分かるのだが。

下から順番に茅を葺いていく。上にいくにつれ足場が必要になり丸太を縄で固定して足場にして上へと葺くていく。足場に乗るときは足を横にして乗るという。何故ならば葺いた茅を傷めないようにするためとか。茅葺職人さん達はこともなげにいとも易々と昇り降りしている。流石だ。

いよいよ一番上の屋根の上の峰に当たる「ぐし」の辺りまで茅が葺かれる。流石にかなりの高さだ。この後茅を整えて防水シートを被せ上に割り竹で「ぐし」を乗せていく。

下では大工さん達が「ぐし」の上に乗せる「けんとうぎ」を作っている。この木材は土台と同じく濱田家の山から切り出した木材を使っている。反りや長さなどは今回の修復で外した古い「けんとうぎ」を参考にして新しいものに取り替える。

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